「雨集め」保育者研修

梅雨が間近になりました。雨の日でも遊べる自然遊びの研修を横浜市の保育園で行いました。

雨合羽を着て雨ふる園庭に。いつものように、自然の空にごあいさつ。

雨の日だからこそ遊べることがあります。はじめにした遊びは「雨集め」。雨が小ぶりになってしまったので、直接容器に捕まえることはできませんが、葉っぱの上には雨粒がいっぱい残っています。

シロツメクサの葉っぱにもキラキラな雨粒が。雨粒は小さいけど、集めれば溜まっていきます。

遊具の鉄棒にも雨粒がたくさんついています。工夫しながら集めます。

雨粒集めはちょっとお休み。水たまりに葉っぱを浮かべて遊びます。

みんなが集めた雨粒がどれだけ溜まったか、並べて見ます。雨の多少だけでなく、どこで集めたか、濁っているか、透明かなど、集め方にも多様性があります。

みんなが集めた雨粒を合わせると、たくさんの雨粒になりました。山に降った雨は、地面に染み込み、湧き水になって、小川になり、やがて小川が集まって、大きな川の流れになって海にたどり着きます。このことを、ちょっぴり体験できた感じ。


コップの水をスポイドにとって桂の木のはっぱの上に垂らすと、キラキラの水玉ができました。桂のはっぱだけでなく他にも水を弾く葉っぱがあります。試してみてください。

絵の具で色をつけた色水を葉っぱに並べると、色とりどりの水玉が出来上がり。

色の水玉に和紙を重ねると色水が滲んで、思いもしない模様・形・色が現れます。何に見えるか想像してみます。

模様の出た和紙を窓辺に飾ると、和紙は透けているので模様が浮き出ます。わーっ、きれいという声が上がりました。子どもたちともやってみみましょう。心に浮かんだ声を聞き取ってあげて、作品に書き添えたり、子どもたち自身が文字を加えると思い思いの作品ができます。ぜひ試してみてください。

【森のカメラマン】


春の季節の草花遊び

葛飾二葉幼稚園のお友達と春の草花を使って、自然遊びをしました。

事前にふたばのはらっぱや、園庭などに咲いている花を積んできました。黒い色の布の上に並べるとミニお花畑のようです。

さいしょは摘んできたシロツメクサの葉っぱを使って、葉っぱ相撲大会の始まり始まり。3枚の葉っぱを三人で引っ張り合い、茎が一番長く残った人が勝ち。単純なあそびほど盛り上がります。

次は、五感を使って探す「みつけたあそび」。紙のコースターに書かれているもの(このチームは”丸い”もの)を集めてきます。他のチームには内緒にします。集めてきたものから他のチームの人に何を集めてきたのか、当ててもらいます。

色んな所に探しに行きます。どこにあるかな?

集めてきたものを園長先生が作ってくれた屋外用の机にならべて、みんなで見あって、何を集めたのか予想し合います。

これは、何を集めたの?そうそう、答えは「赤い」ものでした。もみじの葉っぱも、種もきれいな赤いろをしています。他にも黄色やつるつる、ふわふわなど、目だけでなく、感触や香りを探してあそびました。

今度は自分のお気に入りの葉っぱを画用紙に貼り付けて、思い思いのアート作品を創作しました。いっしょうけんめい作業を進めますが、葉っぱは平らではないので、なかなか付きません。それでもみんなは工夫しながら、集中して貼り付けていきます。

花も貼り付けて、花や草のクレヨンで色もつけました。みんなの絵には物語が詰まっています。先生が一人ひとりの子どもからおはなしをききとって、その場で付箋に書いてもらいました。

カラーコピーして製本すると、世界に一つのクラスみんなの絵本が出来上がります。

今回使った教材を並べてみました。他のクラスの子たちとも今日やった自然遊びをしてみてください。

【森のカメラマン】

春の自然と出会おう!

今日は青梅幼稚園の子どもたちとすみれちゃん達が春の自然に出会うために近くの公園にでかけました。

自然にご挨拶したあと、スミレちゃんが取り出したのは、いろんないろのカラーシート。ばらばらだった子どもたちが自然にみんながあつまって一緒に走り出しました。


「だるまさんがころんだ!」のだるまさんをちょうちょやトンボに変えて〇〇さんがころんだごっこをはじめました。みんな上手にちょうちょやトンボになっています。


「ダンゴムシがころんだ!」もうダンゴムシ以外には見えません。

和紙に草花をつけて草花クレヨンでいろを塗って鯉のぼりを作ったんだ。

白い画用紙にも好きな草花をつけて、お気に入りのちょうちょも作ったよ。

ベンチに図鑑や絵本や道具を置いて、虫と出会う準備完了。

ダンゴムシやありさんをじっと集中して観察します。その様子を先生たちが優しくみまもります。

思い思いの春に出会ったあとは、スミレちゃんがちょうちょの絵本を読んでくれました。たくさん遊んでたくさん出会った春の自然がこころに染み渡っていきます。

またあそぼうね!みんな満足げに園へ帰っていきました。

【森のカメラマン】

妙福寺保育園自然遊び「花」

練馬区の妙福寺保育園では、広い園庭、境内、そして境内の奥にある小さな雑木林を保育に活用され、長年、自然あそびを主体的な保育に取り入れていらっしゃいます。

妙福寺保育園には、「花遊びのための花壇」があります。

自分たちで種を蒔いて育てた花が、きれいに咲き誇ったので、それを愛でた後に、摘み草として花を摘んでは最後まで花を五感を通して楽しみます。

ただ手に持っているだけで嬉しい子。水を入れた器に花びらを浮かべて、お日様の下でその美しさに見とれる子。

お気に入りの草花をクレヨンにして好きなものを自由に描きます。

すり鉢で色を擦りだして容器に移し、草花の優しい色を楽しむ子・・・

おままごとのお料理の食材として工夫して楽しむ子。

それぞれが、花を通して、「自分らしく」楽しみます。

昨年の年長さんが作った手作りの図鑑もさりげなく置かれています。

遊びが継承されていて素敵!

ずーっと草花だけでも、集中して遊び込む姿がありました。

春のポカポカのお日様の下、子どもたちの幸せな時間が流れていきました。

【ケロ】

「木こり体験、森あそび!」 保育研修

戸田市のあけぼの保育園・あけぼの第二保育園の先生達と飯能市吾野「木楽里の森」に木こり体験、森あそびに行きました。

日頃の保育からはなれて、多様な森の環境に溶け込んで、いやされましょう。

「感性を解き放ち、センス・オブ・ワンダー(心で感じること)をたくさん感じてください。」

森の中を散策して、多様な自然に触れたあとはいよいよ、ヒノキの間伐体験です。

木を引き倒すために、ロープを木の高いところに掛けます。初めての経験になかなか引き上げることができません。

木の倒し方やリスクの説明のあと、早速のこぎりで木を切ります。日本のノコギリは引かないと切れません。腕をうまく使って、ノコギリに力を込めます。

まっすぐ水平に切らないと、木はうまく倒れません。ノコギリが曲がっていないか周りから指示をしてもらいます。

次はナタで受け口を作ります。斜めにナタを振り落とすのは少し、力がいります。空振りのときに自分の足を切らないように、左足を後ろに引きます。

反対側からノコギリで追い口をつけたらいよいよ木を倒します。さっき掛けたロープをみんなで協力して引っ張ります。

見事に檜の木が倒れました。年輪を数えてみます。この木はおおよそ40歳でした。

皮を剥いでみるとすべすべの地肌が出てきます。しっとり濡れています。なめてみるとかすかに甘いです。

木こり体験の後、お気に入りの絵本の読み聞かせを代表の先生にしていただきました。木の絵本は森の環境に溶け込み、聞き役の先生たちはみんな引き込まれて聞き入っていました。

思い思いのお菓子の空き箱に、葉っぱや木の実をいれて、森のお弁当作りをしました。3段重ねのお菓子の箱は、用事で参加できなかった園長先生のお土産にするそうです。

秋には子どもたちと一緒にもう一度森を訪問し、木こり体験をします。

子どもたちの育ちには本や動画で疑似体験するだけでなく、実体験がとても必要です。森に足を踏み入れることは視覚だけでなく、聴覚、臭覚、触覚、味覚の5感、そしてセンス・オブ・ワンダーをたくさん感じることができます。そしてそこで感じたことは、これから生きているうえで貴重な体験として子どもたちの心に刻まれていくことでしょう。もしかしたら、先生たちの心にも・・・

【森のカメラマン】

春の感性磨き保育研修

練馬区清心幼稚園では、年間通して園近隣の石神井公園で熱心に野外保育を進めていらっしゃいます。今春も新人研修で石神井公園にでかけました。

あたたかい春の日差しの中で自然遊びを学び合い、先生たちの感性が豊かに開いていくのを感じました。

最初に公園の中の春探し。知識でなく五感で出会います。

緑・黄色・赤・丸・♡・フワフワ・いい匂いを五感を使って探します。

何ひとつ同じものはないからこそ並べてみると面白く、美しいものに出会えます。

春の草花の色を頂いて和紙に草花クレヨンでお絵かき。
青空にちょうちょが舞いました。

春の自然の中には優しい色がたくさんあふれています。

手のひらの中の小さなセンス・オブ・ワンダー

春の小さな命を集めて紙コースターに思い思いに並べると、素敵な草花ペンダントの出来上がり。一つ一つの小さな姿に心奪われます。どれ一つ同じものはなく、優劣もありません。

お顔の絵本を読んだあとはお顔のかくれんぼごっこ。目玉シールを持って、お気に入りのお顔を作りました。

最後に集めた草花と少しの水を透明シートの上に乗せて花びらのウォータースライダーごっこ。下から見上げると、青空に花びらがキラキラと揺らめきます。

今回の遊びの研修を通して、先生方自身のワクワク・ドキドキがたくさん生まれました。センス・オブ・ワンダーが子どもたちの心を動かし主体的な保育の取り組みにつながっていくことでしょう。

【ケロちゃんこと高橋京子】

戸田市の子育て支援で木のアクセサリースタンド作り

冬は葉を落とす木の「樹形(じゅけい)」を観る絶好の季節です。でも見方がよくわからないから楽しめないという方も多いのではないでしょうか?

今日の活動ではたくさんの枝の中から「自分の好きな形の部分」をみつけだし、「自分で切って」、「自分で選んだ木の輪切り(土台)」に立てる、オリジナル木のアクセサリースタンド作りを楽しみました。

木の感触や香りを楽しみ、いびつで美しい自然の形に注目する。五感を刺激しながら作業を進めていると木や枝の美しさや多様な形に心奪われます。

できあがった作品はどれも個性豊かで楽しい作品ばかりでした!アクセサリースタンド作りは「作ること」だけではなく、「枝」の見方や楽しみ方もちょっとわかっちゃった!のではないでしょうか。

                       【さっちんこと長谷川幸子】

素敵なリースをありがとう!

今年度最後の自然あそびの際に、ゆり組の年長さん達から、みんなで作った素敵なリースをプレゼントしていただきました。

とっても嬉しかったです! ありがとう!

年長さん達とは、乳児さんの頃からずっと、園庭や保育室で水や砂や土や石、裏山や公園の葉っぱや木や虫、光や風、氷などなど
日々の保育の中で、たくさんの自然と出会い、仲良くなりたくさんあそびこみましたね。

年長さんになると、三浦半島の荒井浜で磯の生き物を探しに出かけたくさんの磯の生き物に出会ったり、コウゾで和紙を漉いて紙がどの様にできるのかもあそびを通して学びました。

子どもたちはあそび込む程に、なんで? どうして? どうしたら? できない! できた! 面白い!もっとやってみたい! もっと知りたい!

の生き生きサイクルが生まれてきましたね。

みんなが出会って感じて考えて試してできたという多様な体験は、これからの一人ひとりを支える根っこの力になっていくはずです。

和田愛児園(横浜市保土ヶ谷区 園長 田口威先生)のゆり組のお友達。
もうすぐ卒園! 大きく羽ばたいてください。

ウレシパモシリ自然あそび講師一同

教えから『出会い』へ

ウレシパモシリ顧問の首藤久義先生(千葉大学名誉教授)から、10年程前に、顧問にご就任いただきました際に、ウレシパモシリの活動を進めていくための一番大切な言葉に出会あわせていただきました。

「ケロちゃん、教え込むのではなく、出会わせてあげればいいんだよ。」

「出会う」⇒「遊ぶ」⇒「馴染み親しむ」⇒「好きになる」⇒「もっと知りたくなる」

自然あそびを保育につなぐためにも、
多様な自然に出会えば、子どもたちはワクワクして遊び始める。

面白がって遊び込む程に自然に馴染み親しみ好きになる。

好きになり愛着を持てば、もっと遊びたい、やってみたい!

自分で感じて心動けば、「なんで?どうして」不思議に思う事、

自ら問うて考えてもっと知りたくなる。

探求心や学びに向かう姿が生まれてくる。

このウレシパモシリの歩みの10年間、ずっとこの「出会い」を日々の保育の現場で、先生方と一緒になって、子どもの姿から試行錯誤し求めてきたと改めて感じています。

レイチェル・カーソンの「センス・オブ・ワンダー」の「知ることよりも感じること」のメッセージもウレシパの宝物としてずっと温めてきたように思います。

そんな「出会い」の大切さをお伝えくださり、ご一緒に作務衣を着て、数々の保育現場に入って子どもたちと一緒に遊んでくださった首藤先生が、この度、本を出版されました。

「国語を楽しく」(東洋館出版)

このご著書の第6章「幼児期の言葉と文字」では、実際の園の現場でご指導いただきました自然遊びから生まれる言葉遊びの事例も数多く記載されております。

私も首藤先生のご指導をまじかに拝見しながら、大変深く学ばせていただきました。

「ケロちゃん、自然あそびの中に、たくさんの言葉が溢れているよ!」と言って下さり、子どもたちの遊びを通して感じて動く心の声を言葉の領域につないでくださいました。

多くの保育幼児教育に関わられる先生方に、是非手にとってご覧いただきたいと心から願っております。

ウレシパモシリはこれからも、葉っぱや小枝や水や土砂石等の一つひとつの自然物や、光や風、雨等の日々変化する自然の事象等、身近な自然を保育教育資源として日々の保育や生活の中に取り入れて、子どもたちが出会う場を先生方と一緒に面白がって進めていきたいと思います。

今年度も、多くの保育園・幼稚園・認定こども園の先生方、児童館・学童の先生方にも出会いをいただきました。

温かいご支援に心から感謝申し上げます。

新年度も、日々の保育と身近な自然をつなぐ研究活動を進めて参りたいと思います。

どうぞ宜しくご支援ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。

ウレシパモシリ 高橋京子

明けましておめでとうございます

ウレシパモシリも、スタートしてから早くも10年が経過しました。
ひとえに、今まで出会ったたくさんの園の先生方、子どもたち、保護者の皆様、行政、企業の皆様のお力添えのお陰です。
改めて心から感謝申し上げます。

2023年も引き続き、ウレシパモシリ=アイヌ語で「互いに育ちあう大地」の意味を込めて、豊かで明るい未来に向けて、多様な自然の保育教育力を日々の保育や子育てに活かし、「教えから出会いへ」をテーマに、子どもたちに多様な世界との出会いをつないで参ります。

ウレシパモシリ講師一同、2023年も力を合わせて精進して参ります。
今年もどうぞあたたかいご支援ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。

ウレシパモシリ主宰 高橋京子