秋が深まって参りました。冬の訪れを朝夕に感じます。
10月は、富山県・富山県民間保育連盟・日本保育協会富山県支部青年部様からお声がけいただきまして、「自然の見方・かかわり方」のテーマで、富山県立呉羽青少年自然の家で自然あそび実践研修と「身近な自然を保育に持ち込み、日々の保育を外に持ち出す」講演をさせていただきました。
日々の保育の中でも当たり前にある木や小枝、草花、木の実、石ころ、水、お日様等、子どもたちの五感を通していかに楽しく出会いの場を日々の保育環境の中に持ち込めるのか、実際の保育現場で実践させていただいてきました事例も加えてご紹介させていただきました。
豊かな自然に囲まれた富山県の子どもたちが、日々の生活の中でも身近な自然にも心動かし豊かな感性を育んで欲しいと心から願います。子どもたちのみならず、保育者の先生方が当たり前にある身近な自然の営みにも心寄せ保育を楽しんでいただくきっかけになっていただけましたら光栄です。
大変お世話になりました事務局の園長先生、はじめご参加いただきました先生方、本当にありがとうございました。
いしかわ木育セミナー
9月1日、石川県主催の木育セミナーで、県内の幼稚園保育園認定こども園の先生方、公園管理や子育てに関わる皆様と一緒に、「日々の保育と木育をつなぐ」をテーマに研修を行わせていただきました。
はじめて伺った石川県。金沢の街並みは美しくお食事も美味しく、迎えてくださいました県職員の皆様や参加された皆様のあたたかいお人柄に触れることができ、石川県が大好きになりました!
歴史ある良質の木材を産出する森林文化のある都市からの木育の取り組み。
少しでも今回の研修が日々の保育現場につながっていけば嬉しい限りです。
日々子どもたちのあそびの中で
五感を通した木や森との楽しい出会いが
更に広がります様にと・・・心から願っております。
石川県の皆様、ありがとうございました。
昆虫大魔王の虫講座
6月のウレシパカフェは、自然環境研究センターの斉藤秀生先生の虫講座でした。
斉藤先生は、現在、ミャンマーの教育支援でもご活躍されています。
虫講座では、ミャンマーの学校の子どもたちとの昆虫採集の様子。
多様な昆虫の生態に触れ、生きる知恵や力を虫たちから学ぶことの面白さや大切さをお伝えいただきました。
虫嫌いな保護者や先生がいても大丈夫! でも、これから虫に出会う子どもたちのきっかけや楽しみだけは、子どもたちから奪わないで欲しいとお話されていました。
とっつぁんの森歩きと川あそび
7月のウレシパカフェの講師は、埼玉県飯能市のきまま工房木楽里オーナーの井上淳治さん。林業家で森を守り育て木育も手掛けるとっつぁんの愛称で親しまれています。
みんなでとっつぁんの森へお出かけしました。
猛暑でしたが、歴史ある西川材を守り育てている手入れの行き届いた森は、とても心地よくさわやかな風が吹き抜けていました。
ムササビが、高い木の上の穴にお家を作って暮らしていました。
鹿の足跡。草木を食べた痕も。ミョウガもゲット!
都会の街中では、出会えない多様な命の営みにも触れることができました。
午後からは、高麗川で川遊び。参加者は大人だけでしたが、子どもに還って夢中であそび込みました。
水草の下には、たくさんのカワスジエビ。石ころをひっくり返すと、カゲロウ、カワゲラ、トビケラ、ヘビトンボ。たくさんの水生昆虫を見つけました。
なにやら、とっつぁんが川の中で大きな石の下を手でまさぐっています!
大きなカジカを捕まえてくれました。
川の隅の砂地のところには、サワガニも棲んでいました。
川は、たくさんの小さな命と出会えます。川の流れる姿や音は、なぜか心を癒してくれます。
最後は、木の葉の様に、川の流れに身を任せ、ライフジャケットを付けて、川の流れを楽しみました!
「子どもと一緒に自然あそび」講座
今年も、7月下旬に、夏の芸術教育学校の講座を1日受け持ちました。
ご参加いただいた方々は、全国から集まった幼稚園保育園認定こども園の先生方。皆様大人です!大人が子どもの気持ちに還ってあそびなおすこと。そして、終日、中野サンプラザの研修室に、葉っぱや小枝を持ち込んでの自然あそび演習を行いました。
自分で葉っぱを選んで会場に持ち込むことから研修の始まりです。
1分間、目をつぶり子どもに還ったら、みんなで森へ昆虫狩りに出かけました。
森の世界に入り込んだら、いよいよ子どもに還って自然あそび。
持ち寄った葉っぱで、「みーつけた♪」のあそび。
葉っぱの色、形、感触、匂い等、五感を通していろいろな葉っぱに楽しく出会うあそびです。普段見ているようで見ていない葉っぱのそれぞれの違いに気付きます。
自分でお気に入りの葉っぱを選んだら、葉っぱじゃんけん大会。
長い、短い、細い、太い等、葉っぱで勝負を決めました!
葉っぱの背比べでは、グループで、障子紙に一列に葉っぱを並べて、全体の長さを競います。
すると、更に、葉っぱ一枚一枚の形の面白さや美しさに気付きます。
それぞれの葉っぱに目玉を付けると、更に葉っぱに愛着が生まれます。
葉っぱ一枚からでも、いろいろな遊びが展開できます。
次はしずく遊び。
葉っぱは、水を弾く葉っぱと弾かない葉っぱがあることに気付きます。
葉っぱの上をコロコロと転がるしずくがとてもかわいらしく光に当たるとキラキラと美しいから、心が釘付けになりますね。
午後からは、小枝で木の姿を再現するマイツリーごっこ。
まずは、小枝を太い、細い、枝先とみんなで分類します。
グループで、枝をつなげて木の姿を再現しました。
枝も、一つとして同じモノがなく、いびつであることで、素敵な木の姿が生まれました。
そこに、午前中に遊んだ葉っぱを置いたり、粘土でいろいろな生き物等を作って、命のつながりのある多様な木が生まれました。
自然は、まず知識からと構えている保育者がいらっしゃいますが、「知ることよりも感じることが大事であること」「子どもたちがやりたがりあそび込みたくなるような道をつくってあげることが、大事と感じます。
そのためにも、保育者がまずは面白がって遊び込んでみること。
センスオブワンダーの世界が、都市型の保育の世界にもつながっていきます様に願いを込めて。
たくさんの皆様にご参加いただきまして、ありがとうございました。
また、主催いただきました芸術と遊びの創造協会の皆様、大変お世話になりありがとうございました。
kyoko takahashi
ウレシパカフェ「4月」
ウレシパモシリでは、
ウレシパカフェと称する保育と自然をつなぐ小さな勉強会を
定期的に池袋の会場をお借りして開催して参りました。
今年度で、すでに3年目を迎えました。
ウレシパモシリの講師が順番に登壇し
園庭や公園に棲む虫たちの世界
水辺の生き物のザリガニの飼育の仕方や生き物の知恵
子どもたちが手のひらの中に握って離さない石ころたちのこと
森とあそび森から学ぶ森の世界
自然あそびで楽しむ音あそび・豊かな表現の世界
自然あそびを通して深まる言葉の世界
などなど・・・
それぞれ専門分野は違っても、
すべて子どもたちのあそびの世界を通して、
つながり交じり合い深まる学びの面白さ・・・
そんな多種多様なあそびの可能性を実際の保育現場の事例を通して
学びあう勉強会です。
今年度のスタートのウレシパカフェは、
「身近な自然を保育につなぐ」をテーマに高橋京子が受け持ちます。
身近な葉っぱ1枚から、ひとしずくから始まる小さな水の世界を楽しむあそびの演習。
様々な園でのあそびの事例紹介も含めて、
皆様とご一緒に、保育に自然をつなぐことの意味を、
子どもたちの育ちの力を引き出す保育環境作りについても
語り合えたら嬉しいです。
ご興味のある方は、ウレシパモシリのHPからお問合せ下さい。
尚、今年度の年間のウレシパカフェの講座(仮)の予定は以下の通りです。
4月 身近な自然を保育につなぐ(高橋京子)
6月 身近な虫講座(斉藤秀生先生)
7月 森であそぼう!(埼玉県飯能市の森で遊びます)(井上淳治先生)
8月 石ころあそび(杵島正洋先生)
10月 水辺の生き物(磯の生き物)(佐藤武宏先生)
12月 自然あそびから広がる音あそび(平岩佐和子先生)
2月 自然あそびから深まる言葉あそび(首藤久義先生)
以上を予定しております。
尚、都合により予定が変更になることもございますので
その都度、ご照会ください。(各回 定員30名)
その都度、ご案内もUPしていきます。
ご一緒にあそび学びあいましょう。
皆様のご参加をお待ちしております。
自然あそびの本
子どもたちが育つ環境に必要なものはなにかな・・・
そんな想いをずっと20年以上あたためてきました。
都市の限られた自然の中でも、
五感を刺激する多様な自然あそびに夢中になる子どもたちの姿も見て来ました。
目を輝かせ興味あるものに近づき発見し、
遊びこむ子どもの時間。
自分で遊びを創り出し、発展させていきます。
多様な自然が多様な子どもの心を受け止めてくれるので、
いつもは集中しずらい子どもたちも、夢中になって遊びこむ姿があります。
手にした葉っぱ一枚も、形や色や匂いや感触が違うことに
遊びを通して気付いた子どもたちは、
友だちと違うことを楽しみます。
違っていいんだ、人は一人ひとり違うことを認め合うことが
素敵なんだと、大人たちも気付かされます。
子どもたちが自分から遊びを楽しみ始めた時の集中力吸収力のすごさを見ていると
大人が教え込むよりも、子どもたちが夢中になるきっかけを用意してあげればいいんだと
子どもたちの姿から学ばせていただきました。
子どもたちが日々の生活の中で出会うことができる身近な自然
すなわち、花、葉っぱ、雨、泥、水、砂、石、落ち葉、木の実、風、光、小枝等・・・
自然の贈り物をテーマに、
実際に保育現場で実践させていただきました遊びの数々をまとめました。
いつでもどこでもだれでもできる身近な自然あそびです。
書店でみかけたら、ぜひ手にとってご覧いただければ嬉しいです。
「12か月の自然あそび87」(新星出版社)
たくさんの皆様からのあたたかいご支援ご協力を賜り、お陰様で生まれた本です。
出版にあたり、ご協力いただきました保育園・幼稚園の先生方、保護者の皆様、
ご指導いただきました専門講師の先生方、
そしておまとめいただきました編集者、出版社の皆様に、
改めて心からの感謝をこめて・・・。
夏の芸術教育学校「子どもと一緒に自然あそび」講座報告
今夏、中野サンプラザの会議室にて、
幼稚園保育園の先生方と
「大人と一緒に自然あそび」を行いました。
各自5枚5種類の葉っぱを、探して持ち寄るところから研修はスタートです。
都会の限られた自然の中でも、いろんな葉っぱがたくさん集まりました。
持ち寄った葉っぱから、
「見つけた見つけた」絵本であそびました。
いろんな色、いろんな形、いろんな感触、いろんな匂い・・・
葉っぱ一枚とっても、おなじものはないことに気付きます。
そんな葉っぱたちのお蔭で
室内でも、楽しい自然あそび!
たくさん遊んだ後は、
保育者の立場に戻り、
それぞれ自園の環境を活かした
明日からできる自然あそびの企画提案グループワークを行いました。
保育者が面白い!と思って自園で始めたら
あそびの中で、子どもたちの出会うものが少しずつ違ってくるかもしれません・・・。
多様な自然は、子どもたちの多様な想いを受け止めてくれます!
子どもたちの笑顔が目に浮かんできて、
なんだかとっても楽しみです!
今回の講座を企画いただきました
芸術と遊び創造協会の皆様、
ありがとうございました!
保育者の感性を育むために
時をとめて心をよせて
- 日々の保育を楽しむ方法 -
作詩:ウレシパモシリ 高橋京子
見上げてみましょう
いつも忙しく目の前しか見ていないあなた
お散歩に出かけた時には 子どもと一緒に 空を見上げてみましょう
草の上に 寝転んでみましょう
その日の 空の色 雲の動き おひさまの輝き 風の匂い
子どもに寄り添い見上げてみれば
いつもの風景が まったく違って見えるでしょう
大きく息を吸って 雲の動きをゆっくりと追ってみると
隣に寝ころぶ子どものきもちが きっとわかってくるでしょう
のぞいてみましょう
お散歩の道を ただ通り過ぎていませんか
足もとの虫たちの 命の営みを見ないまま
子どもが見つけて 手にする虫が
どこに住み どんな顔をしているのか
葉っぱの裏に かくれんぼしている小さな命に
気づかないまま 通り過ぎている日々
子どもは気付いています
子どもは あそびの中で気づいています
小さな命の営みの不思議さに
春を待つつぼみの中に 芽が出る木の実の中にも
命が育まれていることに
雨上がりには
葉っぱの上にちょこんと乗ったひとしずくが
宝石のようにキラキラ輝いていることに
気づいてみたら
きっと 小さな世界への好奇心が ふくらんでくることでしょう
耳をそっとすましてみましょう
毎日の忙しい生活の中で いろいろな音や声に囲まれているあなた
お散歩に出かけた公園や 園庭の隅っこで
子どもと一緒に目を閉じて そっと耳を傾けてみましょう
風の音が聞こえますか
鳥の声が聞こえますか
子どもと一緒に目を閉じて 耳を傾ける習慣をつけていくと
不思議と街中の雑音の中でも
木々を揺らす風の音を
空高く舞う鳥の声を
自然の優しい音や声を
あなた自身の耳で 聞き分けることができるようになるでしょう
きっと 声なき子どもの声も
あなたの心に届いてくるでしょう
自分の手のひらで触れてみましょう
ただ通り過ぎているだけでは
知っているようで じつは知らないこともあるでしょう
テントウムシが 指先まで上がっていくと
羽をひろげて お日さまに向かって飛び立つことを
ハートの形のドクダミの葉っぱは
手(た)折(お)ってみると 臭いにおいがすることを
ちょろちょろ動くダンゴムシが
手のひらの中で コロコロまるまって転がる姿を
お日さまがあたる小石は とってもあたたかいことを
枯れた茶色の落ち葉でも 拾ってお日さまにかざしてみると
オレンジ色に輝くことを
踏むとザクザク音がする霜柱だって
そっと手に取りお日さまにかざしてみると キラキラと輝くことを
ふるいにかけた砂場の砂が 手のひらにサラサラとこぼれ落ちる感覚を
毎日の中で起こっている 子どもたちのたくさんの感覚の出会いを
あなた自身の手のひらを通して もう一度出会い直してみることで
いつしか忘れていて 使わなくなっていた感覚を
新鮮に呼び戻すことができるようになるでしょう
そうすると
日々の保育の中の 当たり前にある風景の中でも
見るもの聞くもの すべての世界が
なんだかワクワク キラキラと
新鮮な感覚をもって 生まれ変わってくるでしょう
日々の保育を楽しむ方法は
あなたが持っているのに いつしか使わなくなってしまった五感のすべてを
もう一度使いなおしてみることです
2017年春
保育現場で頑張っていらっしゃる皆様に贈ります。
作詩にあたり、
ウレシパモシリ顧問・千葉大学名誉教授
首藤久義先生より、ご校閲をいただきました。
心からの感謝をこめて。