磯の生き物探し

練馬区の清心幼稚園の先生達と三浦半島油壺の磯に磯の生き物たちと出会いに生きました。指導していただいた先生は神奈川県立生命の星・地球博物館の学芸部長の佐藤武宏先生です。

当日は3月下旬にしては風が冷たかったのですが、晴天で普段は霞んで見えない富士山がくっきりとその勇姿を見せてくれました。

はじめに安全面の注意を受けたあと、目をつむって磯の匂いや音を五感を使って感じます。磯の生き物たちにはその生き物の感覚に寄り添わないと、出会うことができません。捕食者からどう身を隠すのか、餌はどのように取るのかなどを知識だけでなく、感覚で理解します。

海の生きものは砂浜よりもこうした岩のゴツゴツした岩場の潮溜まりに多く見つけることができます。動物の多様性は地上よりも海のほうが豊かに思えます。

生き物に出会うには生き物の気持ちになることが大切です。石の下にいるかな?生き物が隠れる場所としては都合が良いですよね。

まだ海水温は低く海藻もあまり成長していませんでしたが、短時間で多様な生き物を見つけることができました。参加した先生たちが生き物の気持ちになっていたからでしょう。

見つかった生き物たちをみんなで分類します。分類は子どもたちにとってもワクワクする楽しい作業です。カニ、ナマコ、ウニ、ヒトデ、ヤドカリ、貝、海藻などなど。間違っても佐藤先生が優しく直してくれます。ナマコ・ウニ・ヒトデは形は違っても、五角形の体を持ち硬い皮膚を持っているので、同じ仲間の棘皮動物。ウミウシ・アメフラシは小さな殻を持っていたり、退化してなくなったりしているので、貝と同じ仲間の軟体動物。カニとエビ、ヤドカリ(外見上は8本)は10本の足を持つ体に硬い殻を持つ甲殻類。どのように仲間分けされるのか?形は似ていても、違う種類の生き物がいたりすることを知ります。今回は全部で40種類以上の生き物が見つかりました。

実際に磯に出かけることは目や耳だけで得られる情報だけでなく、実体験して五感で得られることの豊かさを感じられるために大切です。気持ち悪いと言って触ろうとしなかった園の先生が、勇気を出してナマコに触れてみると意外と可愛かったり、刺激すると体が固くなったりすることに気づきます。

磯で出会った生き物たちを園に連れて帰ることはできません。海水を用意したり、潮の満ち引きを再現しなければならないので、飼育が難しくすぐに死んでしまうからです。なので今日の体験を心に刻むために、お気に入りの生き物をスケッチしました。

天気の神様が味方してくれた嘘のような温かな春の穏やかな海で、たくさんの生き物に出会い、磯での実体験をとおしてたくさんの気づきがありました。この経験がこれから新年度スタートする保育にフレッシュな風を吹き込んでくれることでしょう。

【森のカメラマン】

あたたかな眼差しの中で新たな春を迎える喜び

令和6年度が始まりました。
固い蕾も暖かな春の日差しを浴びて、一斉にほころび始めました。色の無い冬が終わり、いたるところに春の色が生まれてきます。新年度へのワクワクが高まります。

『人が幸せにいきるために』の想いを込めて、3年程前からご縁をいただいています東京都葛飾区葛飾二葉幼稚園(園長二葉昭二先生)の身近な自然と保育をつなぐ取り組みの年度末研修が行われました。
年間通して季節の移ろいと共に、草花や水・雨、土や砂、落ち葉、小枝木の実、風や光と、日々の園生活の中で子どもたちがどの様に出会い、自ら心動かして試し思考し集中して遊び込み、自分らしく生き生きと表現していった姿を、1つひとつの事例を挙げて保育教諭と共に振り返りました。

身近な自然を保育に取り入れたことで、どうしてこの様な生き生きとした子どもの姿が生まれてきたのか・・・。
自然の持つ教育力とはどこにあるのか、子どもが本来持つ生き生きとした力はどうしたら発揮できるのか・・・

新年度は、更に保育教諭の先生方と共に、子どもの姿から学びあっていきたいと今からワクワクが止まりません。

大人になった時に、自分でもまんざらでもないなあ!と思えるような幸せな子どもの育ちを夢見て、皆様と共にもう一歩先へ。

【ケロちゃんこと高橋京子】

戸田市立保育園研究実践報告会

2年間に渡り埼玉県戸田市公立保育園の7か園の先生方と「身近な自然を日々の保育につなぎ、自然に親しみを持ち五感を通して子どもの主体性を育むこと」をテーマに研究を進めて参りました。
自然の知識をたくさん覚えることよりも、当たり前の自園の保育環境を見直し、自然を保育教育資源として捉えなおしてみること。その日その時の自然物や自然事象と出会わせることで、子供たちも保育者もワクワク心動かす遊びや、なんで?どうして?と不思議に思い自ら試す学びへの姿、自分らしく表現したくなる思いが、日々の保育の中に溢れてきました。
保育者ご自身が、何より心動かしてワクワクしながら主体的に生き生きと実践された姿が素晴らしかったです。
2年間で育まれたセンス・オブ・ワンダーの世界を、さりげない日々の保育の中に来年度以降もつないでいかれて下さい。
私自身が何より各園さんの実践報告からたくさんの気づきと学びをいただいた2年間となりました。
戸田市立保育園の皆様、ありがとうございました。

【ケロちゃんこと高橋京子】

ひなたがぽかぽかの園庭で光遊びをしました

冬は寒いけど、日本の太平洋側はおひさまが低い位置の晴れの日が多いですよね。今日は葛飾二葉幼稚園の年長さんとそんな冬だからこそできる太陽の光を使った自然遊びをしました。

目の前にある白い布は何?木の間に張った白い布を影絵のスクリーンに見立てて太陽スクリーン(太陽の光が光源なので)です。なにか人のような影が浮かび上がってきました。今日の遊びのプロはけろちゃんです。

まずは、アイスブレークの時間です。太陽の光といえば、定番の遊びは影踏みですね。一斉にお互いの影を追いかけて、体と心を温めます。。

一通り影踏みをしたところで、次は皆んなで横一列に並んで自分の影を見てみます。伸びをしたり、しゃがんだり、斜めになったり。一列の影が一斉に同じ形に変化します。

今日は5歳さんのみんなが光の研究員です。研究員は、ペットボトルの光の万華鏡、光の覗き眼鏡、キラキラボールなどを制作して、光の変化に出会いながらその不思議を研究します。

さっそく各コーナーに分かれて自分の気に入ったものの制作をしました。丸い形のペットボトルにカラーセロファンと水を入れると、ペットボトルの光の万華鏡の出来上がり。白い模造紙の上に置くと、太陽の光が水で屈折し、カラーセロファンのいろんな色が混じったり、動いたり、形を変えたりして、とてもきれいな光の投影ができました。

紙皿の中心をくり抜きカラーセロファンを貼ってそこから覗くとどんな世界が見えるかな?さっきの白い布のスクリーンに投影すると、セロファンの色が綺麗に投影されます。

透明なハリのあるビニール袋にカラーセロファンを細かく刻んで入れたら、キラキラボールの出来上がり。紐を括って木の枝にかけてみると、ビニールが太陽の光に反射して、いろんな色がキラキラして、とても綺麗な光に出会えます。

今度はけろちゃんが透明なシートを木の間に張っています。何をするんだろう。

余ったカラーセロファンをマイラーテープに貼り付けて、天の川の出来上がり。これをさっきの透明ビニールに貼り付けて、紙皿の色覗き眼鏡も一緒に貼り付けました。

地面を見てみると・・・。天の川の間に、カラフルな丸い宇宙船が飛んでいるのかな?

最後に研究員が制作した、光の作品を持ち寄って、太陽スクリーンにかざしてみました。いろんな色や形が浮きあがってきます。

今回はあえて、作り方の詳しい説明をしないで、子どもたち自ら工夫して制作をしてもらいました。たくさんの工夫と個性あふれる作品が生まれました。

【森のカメラマン】

谷川岳の見えるこども園で木やきのみを使って遊んだ

短く切った丸太、木の輪切り、どんぐり、松ぼっくり赤い木の実などたくさんの自然の素材を持ち込んでいろんなことをして遊びました。

それぞれの素材を何に使うかは遊びを進めるうちにわかってきます。

まずは園庭で自分のお気に入りの木を決めてその感触を確かめます。触っていると、冷たいとか、ざらざらしてるとか色々な言葉が聞こえます。

園庭の土の上に落ちている葉っぱを拾い上げると霜がついていました。落ち葉の周りに沿って氷のしずくがきれいに並んでいます。

感性が十分に開いたところで、次は知恵と体を使った競争遊びをしました。3チームに別れて短く切った色々な長さや太さの丸太の中から自由に選んで、積み上げていきます。一番高く積み上げたチームが勝ちです。

土台となる一番下に何を置けばいいのか。チームで相談しました。「太いのがいいんじゃない。」「できるだけ長いのがいいよ。」「平らなものはないかな?」

「なんか崩れそうだけどこの棒を立てられないかな?」じっくりバランスを取りながらなんとか倒れないように積む方法を集中して考えます。

形が決まった既成のものではない自然のものだから感覚も知性もフル稼働させる必要があります。自然とみんなの応援の声が聞こえてきます。

次はクリスマスにふさわしい遊びの始まりです。園で用意してもらった白樺の木の輪切りをスポンジケーキ(ダンボールで作ったオーブンで焼き上げてあります)に見立ててきのみのケーキを作ります。他に木粉粘土、どんぐり、赤い木の実、松ぼっくりなど。園庭に生えている草木も使います。

思い思いの材料を粘土の上に並べていきます。みんなパテシエになりきって自分の好きなケーキを集中して作り上げていきます。

出来上がったきのみのケーキたち。どれも美味しそう。一つも同じものはありません。お皿に乗せて紙も敷きました。

クリスマスパーティーの開催です。全員でクリスマスの歌を歌い、あか・あお・きいろ三原色の色水のジュースで乾杯しました。

乾杯といっても飲むわけではありません。お互いのカップに色水を入れ合います。あーら不思議。色が変わって違う色になりました。別のお友達と混ぜるとまた違った色になります。それぞれが個性のある素敵な色になりました。

気温は低かったけど、風もなく日差しが暖かかったです。心も体もホカホカになるたのしい活動になりました。

【森のカメラマン】

飯能の森で木こり体験を行ってきた

春に園庭で木の積み木遊びをした、戸田市のあけぼの保育園の5歳さんたちと今回は本物の木を切り倒す「木こり体験」をしました。

森は紅葉し始めで、見事な秋晴れの青空と優しい風が子どもたちを待ち受けています。絶好の行楽日和で園からの道は渋滞でちょっと予定より遅れましたが、子どもたちは森に向かう期待感でこころウキウキ・ドキドキです。いつもは道端の自然物の観察にたっぷり時間を使ってしまうのですが、今日は先を急ぎます。

森でみんなを迎えてくれたのは、春にも木の遊びを教えてもらった「とっつぁん」と「ゆかりん」です。これから体験する木こり体験や森のことを説明してもらいました。

実際に木を切る前に、森を五感で感じるために地面に寝転んで空を見上げます。木の間から見える空や、風が木々を揺らす様子、鳥の鳴き声などたくさんのことを感じて五感が研ぎ澄まされていきます。

いよいよ、木こり体験の本番です。まず、とっつぁんからのこぎりの使い方を教えてもらいます。「のこぎりはまっすぐに入れて、手前に引くと切れるよ。」安全に気を配りながら、自分たちで木を切っていきます。みんな木こりになりきって、力の入れ具合や、のこの引き方など、頭と体をせいいっぱい働かせているので、真剣ないい顔をしています。

木を倒す側に入れる三角の切り込みは今日は時間の関係でとっつぁんが作業をしました。ナタで割った切り粉の匂いを嗅いでみるとヒノキのいい匂いがします。「くだもののような匂いがする!」いろんな匂いの感想がでました。

倒す準備ができました。木にかけたロープをみんなが協力しあって引っ張ります。

やったー、迫力のある音とを轟かせて目論見通りの方向に見事に倒れました。みんな満足げな顔をしています。

倒した木をベンチ代わりにして座って、記念撮影をしました。

倒した木のてっぺんの方の枝にはヒノキの実がどっさりついています。今年はまだ青みがかっていますが、乾燥すると、茶色くなってサッカーボールみたいな形になります。いろいろな遊びに使います。

今日の活動の終わりにゆかりんが絵本を読んでくれました。森で体験したことがよみがえって、すーっつと心に染み込んでいきます。自然の環境とみんなの協調があり、子どもも大人も大満足の一日になりました。

継続して「木こり体験」を保育に取り入れている園の子どもたちなので、森に入ることに躊躇は見られませんが、経験がない子どもたちは森に入ることでさえできないかもしれません。だからこそ一歩足を踏み入れることで体験できることがあります。「また、森に行きたい。」このとっておきの経験が子どもたちのこれからの生き方に少なからず影響を与えることでしょう。

【森のカメラマン】

水とドロであそんだ

清心幼稚園のイベント「べちゃ、ばしゃ ふぇすてぃばる」が開催されました。5歳さんが水やドロでいろんなあそびをしました。ウレシパモシリのメンバーも入って一緒に楽しみました。

最初は水運びリレーです。ビニールシートを4人で持ち、水を真ん中に入れて運びます。できるだけ中の水をこぼさないように工夫しながらゴールのたらいまで運びます。

速さだけでなく、どれだけたくさんの水を運べたかが勝負の分かれ目。水を移したら次の4人にバトンタッチします。

チーム全員が運び終わったところで、たらいの水をペットボトルに移します。どのチームが勝ったかな?キャップの裏に絵の具を仕込んでペットボトルをふるとあら不思議、運んだ水に色が付きました。これで勝負がわかりやすくなったね。青チームの勝ちー。

水運びリレーでできた3色の水をみんなでプラコップに分け合って乾杯をします。3色の色水を少しづつ注ぎあうことで色が混じって、はじめの色とは違う色になっていきます。どうして色が変わるんだろう。不思議だねー。

できた水の色はどれ一つ同じものがありません。子どもたちの多様性を表しているかのようです。虹色に並べてみるのも素敵です。

竹の半割りを組んで水路を作りました。水が流れていく様子を見るのも面白いし、うまく水が流れるように、工夫していろんな水路の形を作ってみるのも面白いです。簡単に繋げたり、組み上げたりできないからこそ工夫が必要で集中して遊びます。

土の山に水を運んでドロの池を作りました。はじめは嫌がっていた子も入ってみるとドロの感触の気持ちよさに魅了されます。

外専用のテーブルを使って左官屋さんごっこ。コテなどの本物の道具を使うことで大人の気分になれます。塗ったドロを指でこするとテーブルの白い表面がでて、絵がかけます。何度でもやり直しが可能なキャンバスです。

最後は先生が水道ホースを使ってシャワーの雨を降らせてくれました。みんなは濡れないように透明のビニールシートや傘で防御します。子どもたちの興奮はマックスに達しました。

ドロで汚した服は自分たちで洗って干しました。すぐにドロを落とすことで、落ち易くなり、保護者の負担も軽くなります。親子の会話も増えるかもしれません。

木の実と山ももの実を飾ったチョコレートケーキ
左官やさんごっこで木の板に塗った土の上に紫陽花の花びらを散らしました。
紫陽花の紫が際立ちます。
半割の竹にドロを詰めてその上に花などを載せました。インテリヤ?オブジェ?
泥だんごに松葉を指して、不思議なものを作ります。
最後は更に載せて和菓子のようなお菓子になりました。

泥遊び作品展:見本も、作り方も、何を作るかも先生からの指示はありません。ひとりひとりが、作りたいものを自由にイメージを膨らませて作ります。自分の内側から出てきた「したい」が形になり、周りに認められると、その子には大きな自信になることでしょう。

【森のカメラマン】

森に水と出会いにいった

青梅幼稚園の5歳さんと森に水との出会いに行きました。

葉っぱを持った先生がいつものように森の入口に門を作ってくれました。門をくぐって、足を踏み入れると、これから始まる森あそびを思い心が踊ります。

森にご挨拶の後、目をつむって森の音を聞いてみます。鳥の声、風が木の葉を鳴らす音、川のせせらぎ、いろんな音が聞こえてきます。気付かなかっただけで、森の中にはいろんな音があるんだね。

スミレちゃんが不思議な水の姿の変化を描いた絵本を読んでくれました。森ではどんな姿の水に出会えるかな?

水との出会いを求めて思い思いの場所で遊びを始めました。

森の地面を掘ってみよう。何が出てくるかな?水が出てくるかも。

小川で治水遊び。どうしたら雨樋に水が流れるか、試してみます。

森の木を見上げると雨上がりだったので、雨粒がたくさん葉っぱについていました。

お昼を食べたあとは少し下ったところの小川で遊びました。カニを捕まえたり、石を拾ったり、川に手を入れたり。自然の中でたくさん遊ぶことができました。

【森のカメラマン】

森の木が園庭にやってきた!

埼玉の森から戸田市のあけぼの保育園にヒノキの木をまるまる一本持ちこみました。この木を園庭にならべて5歳さんたちと森の木に触れる遊びをします。

森に立っている木をそのままでは持ってこれないので、切り倒して、運搬できるようカットします。枝やはっぱもあります。

”とっつぁん”がこんなに高い木を切り倒したんだ。森にあった様子を掛け軸のようなながーい写真で説明します。

それじゃ、この木が元立っていたように園庭に並べてみよう。木を再現するには、丸太がどうつながっていればいいのかよーく考えて並べないとできません。まるでパズルのようです。みんなは話し合ったり、協力して運んだりして、再現していきます。

並べた木をよーく観察しています。立っている木ではできません。園庭に並べられたからこそできる遊びです。

パズルを完成させると、園庭いっぱいでも、並びきれませんでした。森に立っているときではわからない大きさや、枝の付き方を知り、木のてっぺんに触ることができます。鳥になった気分です。

どっちが高いか競争しよう。お友達が背の高さで並んでみました。結果はおんなじぐらいでした。みんなが協力し合て並ぶと、木の大きさよりも高くなります。

次に始めたのは、木の皮むきです。この時期のヒノキは簡単に皮がむけ、みずみずしい素肌が出てきます。なめると、甘いんだ。

みんなが夢中で皮をはぐとヒノキはあっというまに丸裸。

てっぺんの枝・葉っぱ、裸の丸太、履いだ皮は大事に取っておいて、楽しかった体験後の保育に生かされます。

【森のカメラマン】