ウレシパモシリって何?
首藤 久義(しゅとうひさよし)
保育と自然をつなぐ研究会ウレシパモシリ顧問
千葉大学名誉教授
人が生まれて育つ大きな力は、自然の力です。自然の力は環境の中にあるだけでなく、体の中にもあります。人の体の中にある生命力も自然の力です。人は、体の内と外にある自然によって生まれ育ちます。
人間の知恵は、自然に手を加えて、生活を便利にするさまざまなものを生み出して利用してきました。が、その知恵が行き過ぎて自然を使い尽くしてしまった都市や国はほろびます。自然は命の泉です。泉が枯れると大地は砂漠になり、人の心はひからびます。
人の体も、人の心も、もともとは、森や大地や川や海や空という、おおむかしからある大いなる自然から生まれたものです。人類の知恵が生んだ科学技術も、行き過ぎると、人を守り育てる自然を傷つけたり、自然から人間を遠ざけたりします。そうなると、自然にはぐくまれ、支えられている人の心も体も、弱ったり傷ついたりします。
いつのまにか自然から離れすぎてしまった保育や教育の場に自然をとりもどそうと願い、その具体的な手立てを考えて実践しているのが、「保育と自然をつなぐ研究会:ウレシパモシリ」です。
ウレシパモシリは、森の自然を園庭に持ち込む手立てを考えて実践したり、園庭にある木や草や土や水などの自然を活用する手立てを考えて実践したり、園庭や園舎を見直したり、保育や教育の内容や方法を見直して、自然の良さや自然の力が生かされるような工夫を提案しています。周囲の自然を活用し、子どもの体と心の自然を大切にして、生きるエネルギーと育つエネルギーを高めるための、具体的な活動をしています。